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特定口座でも確定申告をした方が良いケース

特定口座でも確定申告をしたほうが良いケース

 特定口座でも確定申告をしたほうが良いケースが4つあります。

  1. 実現損益を年を超えて繰越したい場合(繰越控除)
  2. 複数口座の損益を通算したい場合
  3. 外国源泉徴収税の還付を受けたい場合(外国税額控除)
  4. 源泉徴収なし」を選んだ場合

  1の繰越控除です。確定申告をすれば、3年間損金を繰り越すことができます。つまり、3年間相殺できるということです。これは、1年あたりおよそ67万円まで非課税になることを意味します。繰越をするならば、毎年確定申告をしなくてはいけません。また、3年間で200万円を超える利益が出た時点で、繰越控除は終わり、課税対象になります。

 

 2の複数口座の損益通算です。複数口座で損益がばらばらの場合、確定申告で通算します。A社で100万利益が出て、B社で50万円損をしたとします。そのままですと、A社分の20万円納税することになりますが、通算すればA社とB社の実現損益は50万ですので、10万円の控除を受けられます。

 

 3の外国源泉徴収税です。米国株の場合は、米国で10%の外国源泉徴収を納めています。これは、二重課税ですので日米間の租税条約に基づいて控除することができます。これも、自動計算にはならないので、確定申告が必要です。これについてはもう少し詳しく説明します。

 

 4の「源泉徴収なし」を選んだ場合です。この場合は特定口座でも納税をしていませんので、確定申告して納税しなくてはいけません。なぜ、「源泉徴収なし」という選択があるのかは、上場株式配当等受領委任契約の説明のところで後述してあります。

配当金の外国源泉徴収税がある米国株

 米国株式の配当金は、米国で「外国源泉徴収税」がとられています。これは米国と日本での二重課税となっていますので、日米間の租税条約に基づき控除が可能です。その率は10%と決して軽くありません。なお、外国源泉徴収課税は配当金にのみかかり、売買益にはかかりません。

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 たとえば、100万円の配当金があったとします。このうち、10万円が外国源泉徴収税で引かれます。90万円が日本国内で課税対象になります。日本国内の課税額は復興税含まずで20%です。まとめると、計算式はこうなります。

 

 100万×0.9×0.8=0.72

 

 手取りは72万円ということです。このうち、最初の×0.9、この場合ならば10万円分を確定申告で還付請求できるということです。もし、確定申告で外国源泉徴収税の控除を確定申告を行わないならば、米国株手取り配当金は全て下記の計算式になります。計算式で分かるように、72パーセントしか手元に残らないことになります。

 

 税引前配当金×0.72=手取り配当金

 

 豪国株ADRや英国株ADRは外国源泉徴収税がありません。この場合は日本と同じ計算式になります。

 

 税引前配当金×0.8=手取り配当金

 

 ご質問にあった米国優先株式ETFであるPFFは米国ETFです。そのため、金額と手間のバランスになりますが、基本は確定申告することを前提に考えたほうがお得ということになります。

 日本の税制や行政サービスは全て申請主義

 すべて自動化すれば、利用者は非常に助かります。しかし、基本的に日本の行政サービスや公的福利厚生は申請主義です。申請しないとサービスを受けられないということになります。

 

 逆に言うと、申請されない分の利幅はかなりのものと思われます。社会保障にしても、税制面でも、もし自動化されたら額が大きく変わるでしょう。

上場株式配当等受領委任契約について

 上場株式配当等受領委任契約ですが、これは特定口座の「源泉徴収あり」を選べば殆ど自動でついてくるものです。一応証券会社で確認されてほうがよいと思います。ただ、自動でつかない証券会社を私は知りません。

 

 ちなみに「源泉徴収無し」でメリットがあるのは、投資額が少額で利益が年間20万円以内のケースです。雑所得と同じく、20万円以内の利益は非課税ですので、国内分の源泉徴収を避けたいという人が選びます。

 源泉徴収あり」を選ぶと自動的に税金を取られてしまうからです。ただし、この非課税枠は年収が2000万以内の人という決まりがあります。

 

 税制はとにかく複雑で分かりにくいですが、体験的に知識を蓄積していくことは、株の勉強と同じぐらいに大切だと実感しています。